まだまだ水温が落ちきっていない辰口、先日も季節来遊魚がお見えしてました。
ダイバーならば知っている『季節来遊魚』、そんな魚たちに今回はスポットを当ててみました。
季節来遊魚とは
南方・東シナ海の熱帯地域に生息する魚たちが黒潮や台風の影響で運ばれ北の海に流れてきてしてしまう魚たちの事を「季節来遊魚」と呼んでいます。主に黒潮が接岸する7~8月、台風が上陸する9月に現れる事が多いです。本来住んでいる温かい水温とは違う場所に流されてしまうので当然水温が下がると死んでしまいます。
わざわざ死んでしまうのでナゼこのような行動が起こってしまうのかというと生息範囲を広げる為と考えられています。
すべては生物の性質(本能)によるもの
すべての生物は、その生涯の中で、何らかの方法を使って分布域を広げようとする性質を持っています。魚の場合は、①自力で泳いで移動する、②卵や稚魚の時に海流に運ばれるなどの方法で分布域を広げます。①に属する代表的な魚はカツオやマグロのように大規模な回遊を行う魚たちです。このような魚たちは遊泳能力が高く、広い海を自由自在に泳いで移動しますので比較的生き残るタイプです。
②は大部分の魚がとる方法です。多くの魚は卵を産んで繁殖しますが、卵には大きく分けると海中を漂う分離浮性卵と岩などにへばりつく沈性粘着卵の2種類があります。
前者では産み出されるとすぐに、また後者ではふ化してすぐに海流に乗り、その結果として分布域が広がるのです。このように、生物が分布域を広げることを専門用語では「分散」と言います。卵や稚魚が海流によって遠くまで運ばれ、たどり着いた先で成長し繁殖できるかどうかは、たどり着いた先の様々な条件に左右されます。
例えばサンゴ礁が発達する沖縄の暖かい海に生息する魚の卵が黒潮に乗って長崎に流れ着いたとします。その時期が夏場の水温が高い時期であればある程度成長することができます。しかし冬が来て水温が低下すると、熱帯性の魚は寒さに耐えきれずやがて死んでしまいます。このように、遠くまで運ばれても分布の拡大が成功するかどうかは保証の限りでないのです。
無駄死ににもみえるが、もし海の向こうに生息に適した場所があれば定着し、新たな分布域を広げることができるので、全くの無駄死にではないのです。また、気候変動や海流の流路の変動があれば、それまで死滅していた地域で新たに定着できる可能性もあります。
辰口の季節来遊魚
我らがホームの辰口でも季節来遊魚は観察する事が可能です。毎年観察ができる代表的な魚ですと
ハタタテダイなどのチョウチョウウオ科です。
他にも毎年いるっぽいけど確実に毎年見れるわけではない
ツバメウオ
逆に毎年見てたのに今年は見ていない
ミツボシクロスズメダイなどが代表的ではないでしょうか
他にもここ1~2年の間に見るようになったミナミハタタテダイなどもいます。
今年はまだ水温が下がりきっていないのでこのような季節来遊魚を本来の時期(9月)が過ぎてもまだ観察することができています。ブリーフィング時には簡潔に紹介している『季節来遊魚』、実はこんな事実が隠されていたのです。って話す機会がなかったのでブログにしてみました(^^)
ただ潜るだけでも楽しいですけど一つ一つの物語を探ってみるとさらに楽しくダイビングができるんじゃないでしょうか?となかちよは考えます。
やべぇ潜りたくなってきた(笑)